近所に知られずに家を売却するにはどうすればいいのか?
column
- コラム
家を売却したい場合、広告を出して世間に物件情報を流します。しかし「住宅ローンの返済が苦しい」「離婚することになった」といったことが原因で売却を余儀なくされたとしたらどうでしょうか。できることなら近所に知られずに売却したいと思うのではないでしょうか。この記事では、近所に知られずに家を売却するには、どのような方法があるのかについて解説します。
「仲介」で近所に知られずに売却は可能か
「仲介」による売却は、不動産業者会社に仲介してもらい買主と契約をする一般的な売却方法です。この仲介による売却で近所に知られずに売却することが可能なのかについて探っていきましょう。
仲介は広告を出すのが一般的
不動産仲介会社が売却活動を行う際、まずレインズと呼ばれる不動産オンラインシステムに物件情報を登録します。これにより全国の不動産会社が物件の存在を知ることができます。
また広告による販売も行われます。インターネット広告や新聞の折り込み広告を出すことによって、購入希望者からの問い合わせが十分期待できます。
こうした広告を目にした人は、写真で印象を掴み、可能な範囲で現地を確認したうえで、不動産会社に問い合わせをします。仲介で売却する場合は、買い手が注目するように効果的なレイアウトをするので、近所に知られてしまうリスクは極めて高くなってしまいます。
しかし近所の人に売却活動を知られたくない場合は、たとえばポータルサイトと呼ばれる不動産情報サイトに掲載するにも、全体像が分かるものは外して玄関先のみのアップや室内中心の写真を載せるといった工夫が必要になります。またマンションであれば部屋番号は記載しないといった限定的な情報しか公開できないことになります。
広告なしで売却はできないか
広告は基本的に人に知らせることを目的としているため、広告を出すと必ず近所の人に知られるリスクはあります。
しかし、まったく広告を出さないとなると、期待できるのはレインズで情報を得た不動産会社からの問い合わせか、来店客が対象になります。
しかし来店客のほとんどは、インターネットや折り込み広告から得た情報を頼りに訪ねてくる人がほとんどなので、ふらりと不動産会社を訪ねてきて物件の問い合わせをする人は、現在ではほとんどいないと考えた方がいいでしょう。
つまり物件情報で広告を出さずに売却するのは、極めて難しいということです。
物件に興味を示すのは近所の人
「近所に知られずに売却したい」という要望のない一般的な売却物件だと、仲介不動産会社は、まずは物件の近所から営業を開始します。売却物件がマンションだと同じマンションや近隣のマンションに広告をポスティングします。一戸建ての物件でも近隣の一戸建てに広告をポスティングするのです。
子どもがいる家族であれば、同じ学区で転居をしたいと考えている人は大勢います。同じエリアであれば、交友関係や日常の行動も変化させることなく暮らせるので、近隣の物件に興味を示す人は、意外と多いのです。
したがって、買主となり得る近隣に知らせることなく売却活動をするというのは、自ら絶好の得意先を排除して売却するということなのです。買手の幅を狭めれば、結果的に売却価格を大きく下げることにもつながりかねません。
「買取」という売却方法がある
家を売却するには、「仲介」の他に「買取」という方法があります。「買取」の場合は、近所に知られるリスクは大幅に減らすことができます。
買取とは、不動産物件を買い取ることを専門としている不動産会社が、売主から直接物件を買い取る方法です。買取の特徴を解説していきましょう。
広告が必要ない
買取の場合、売主が会社に問い合わせをして、最終的に価格に納得ができたら売却をするという流れになります。このため売却活動に際して、一切広告を出す必要がないので、近所に知られるリスクはありません。
仲介手数料がかからない
買取は直接取引なので、仲介手数料は一切かかりません。一般的な仲介手数料は、たとえば2,000万円の物件だと、約72万円になりますから、この費用負担がないのは大きなメリットだといえます。
早く売却できる
買取の場合、商談がまとまると1週間くらいで売却金がはいってくることがあります。仲介だと買主が現れるのを待つので、どうしても売却までに時間を要してしまいます。
不要なリフォームをしなくていい
仲介の場合、外壁や内装の汚れを気にして、わざわざリフォームをしてから売却活動をする人がいます。
しかし買取は、買取専門の会社がリフォームをして一般の購入希望者に売却することが前提なので、売主自らがわざわざリフォームをする必要はありません。
内覧は一度だけ
仲介の場合、購入希望者が内覧で家の中を隅々までチェックします。なかなか買主が決まらないと、次から次に内覧者が訪れることになります。
買取専門の会社に売却する場合は、査定のときの訪問で一度家の中を見てもらうだけです。
瑕疵担保責任がない
物件を仲介で売却した場合、重要事項説明に触れていないような不具合が発見されると、契約不適合として、契約解除や損害賠償を求められることがあります。
買取専門の会社に買い取ってもらう場合は、宅建業の専門家が調査をしたうえで買い取るので、後に契約不適合を問われることはありません。
会社の選定がシンプル
仲介の場合、仲介する不動産会社の選定で一括査定のサイトを利用することがあります。各社から物件の査定額が提示されますが、ここで最も査定額の高い不動産会社を選択してもあまり意味はありません。その査定額で売れる保証はどこにもないからです。
仲介を選択する場合は、営業力、得意とするエリアなど様々な要因から慎重に選択することになります。
買取の場合は、単純に一番高値で買い取ってくれる会社を選択すれば、それが最も有利な取引をしたことになるので、会社の選択がシンプルに行えます。
「買取」を選択する場合の注意点
物件の売却を近所に知られたくない場合、「仲介」よりも「買取」の方が、知られるリスクが低いことが分かりました。しかし買取を選択する場合、いくつかの注意点があるので押さえておきましょう。
価格が「仲介」より低い傾向がある
買取専門の会社は、リフォームをして売却します。当然利益を上げることを目的としていますから、ある程度は市場価格よりは低い設定で買い取ることになります。このため一般的には、仲介で売却した場合の相場よりも低い価格になる傾向があります。
どの会社がいいのか分からないことがある
不動産の売却は仲介によるものが一般的であるため、買取の方法があることを知らない人が大勢います。このため買取専門の会社の存在も広く知られていないことが多いので、複数の会社に見積もりを依頼しようとしても、対象となる会社の存在が分からないことがあります。
そもそも買取専門の会社の中には、積極的に広告をしていないところもあります。しかし会社の営業方針が分からないと、売主としても不安が大きいですから、インターネットを活用して、会社の情報が広く知らしめている会社を選ぶといった工夫が必要になります。
まとめ
物件を高値で売却しようとするのであれば、積極的に広告を出すという方法が有利です。しかし物件の売却を近所に知られたくない場合、広告という方法はまったく適していないことになります。
仲介による売却は、そもそも広告を出して売り出すことを前提としているため、近所に知られず売却をすることは極めて困難なのです。
買取専門の会社に買い取ってもらう方法だと、商談を近所に知られることなく進められるため、近所に知られずに売却する方法としても最も適しているといえます。もし物件の売却でこのような悩みをお抱えであれば、選択肢のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。